欠田誠のマネキンの世界
第6話 人体の造形 マネキンの体形とポーズ(その2)

Twiggy

 現代の日本女性の体形は身長も伸びてプロポーションも欧米の女性に決して劣らない美しい女性が多くなりました。今年のミスユニバースには日本代表の森 理世さんが選ばれました。

 平均的な日本女性の体形、サイズ、はアメリカやヨーロッパに比べると昔ほどの大きな差は無いものの、やはり小柄で、市販されている服のサイズを見れば分かる事ですが、アメリカサイズ、ヨーロッパサイズ、日本サイズと、分かれるようです。それはマネキンのサイズにも言えることで、ヨーロッパやアメリカのマネキンを輸入して日本の市場で使う場合には大きすぎるので日本サイズに改造して使う事になりますが、改造する事でサイズは修正できても最初の原型の良さは失はれてしまいますのでこの方法で成功した例を私は知りません。

 その点、日本の市場でも、海外デザイナーブランドのショップやインポートファッションのショップでは、海外のマネキンを効果的に生かした美しいディスプレイを見る事が出来ます。

 日本のマネキンは日本の標準サイズ(Mサイズ・9号サイズ)の服がフィットして着られるように作られていますが身長だけは実際より足や首の長さを長くする事によって175~176センチ前後のスーパーモデル並みのサイズで作ります。ウエストのサイズは57〜60センチで、女性のリアルなサイズに近く作られています。

 1950年後半のイージーオーダー全盛の頃、マネキンが売り場で最もたくさん使われていた頃のマネキンのウエストは47〜49センチと極端に細く作られていました、服を着せた場合、ウエストは細すぎるので後ろで服を絞ってピンで留めて展示をしていました。ウエストをより細く見せたいという願望をマネキンに託していたのでしょう。

 近年、女性の体形は細くスリムになってきました。マネキンも、身長は変わらなくても全体のイメージはよりスリムに、体系の見直しなども行われているようです。

 マネキンの体形が大きく変わったきっかけは1965年のツイギーの出現、ミニスカートの流行にあったと思います。同時に女性のスリム化の願望も高まり、ダイエットと言う言葉が一般化され、そのためのスポーツジムや器具などによるダイエットに向けての努力はこれからの女性の体形を更に変化させていくでしょう。

 マネキンの造形でサイズはほとんど変わらなくても微妙な体形や、ポーズの違いで、年齢を表現しなければならないレディスマネキンに、ヤング・婦人・ミセス・のマネキンがあります。

 それらの表現は、体形の違いだけでなく顔の造形もともないますのでそんなテーマの中で表現の可能性を追求する事もマネキン造形の魅力だと思っています。

 他に小さいサイズ(Sサイズ・7号サイズなど)のためのマネキン、大きいサイズ(Lサイズ・11号サイズなど)のためのマネキンなどがあります。Sサイズの女性は小さい事に、Lサイズの女性は大きい事に、それぞれ悩みやコンプレックスを持っているものです、小さいサイズのマネキンも、小柄で貧弱に見えては失敗ですし、大きいサイズのマネキンも、大柄な女性に見えては失敗です。これらのマネキンを成功させるためには、それぞれにサイズを超えた造形の工夫や表現が必要です。
写真:欠田誠著「マネキン 美しい人体の物語」より、『ツイギー・マネキン。アデル・ルースティン社のカタログ』