欠田誠のマネキンの世界
第35話 「Sculpture 立体造型」 出版と出版記念展

 11月22日(日)から12月4日(金)までART BOXギャラリー(東京、銀座)で「Sculpture立体造型」の出版を記念して掲載作家による記念展が開催されています。出品は、梶田孝史、鴨谷真知子、志村雄逸、早川榮二、山岸統、与吉、欠田誠による7人のそれぞれ異なったジャンルの作品展です。

 作品集は、旧来的な彫刻の概念にとらわれず、異なった理念や目的のもとにさまざまな素材や表現方法で作られた、多種多様な立体造型表現、伝統的な塑造彫刻から、環境アート、インスタレーション、オブジェとしての作品、空間芸術と言われる作品など、現代日本の立体造型表現の全体像を展望できる新しい企画によるユニークな作品集です。
私の人体造型作品も3点掲載されています。

 出版に際し、ART BOXインターナショナル出版企画室の戸川 年さんからこの度のインデックスタイプの新しい作品集制作の企画を伺い、私の造型に対する思いと大いに共鳴するものを感じ、喜んで参加させていただきました。私は掲載作品に次のようなコメントを添えました。
『私の作品は、1957年美大卒業以来マネキン造形の世界で生きてきた体験が基礎になっています。マネキンは時代の変化をリアルに映しながら姿を変えてきました。マネキンは人間の表現、人体造形の新しいジャンルであり人々の生活と直接関わりを持った大衆のためのアートだと思っています。それは単に美しい飾り物ではなく、深いところで人間が生きている事の実感に結びつくものでなくては空しいことです。』

 出版記念展の出品作は昨年の同じ頃11月29日から12月14日、愛知県の文化フォーラム春日井で開催された「人がつくる、ひと。」展に出品した作品の中から2点を選んで出品しました。同じ作品が新たな企画による展示空間の中でどのように見えるだろうかという思いがありました。それに、愛知で発表した時にこれらの作品を東京でも発表する機会をつくりたいと思っていました。

 私がマネキンの原型を作るときにはいつも其の作品の置かれる場として、特定の店のウインドーやステージ、売り場などを想定して作ります。私たちの作品の発表の場は市場であり、そこは不特定多数の人たちとの出会いの場でもあります。それらの作品が美術館や画廊でいろいろな作家の作品と共に展示されることは極めて稀な事です。異なったジャンルの作家たちの作品でも、ある企画のもとに選定された人たちの作品にはどこか共通したものがあるものです。このような機会にお互いの共通した造形の理念などを確かめ合える事は意義深いことです。
マネキン造形に対する認識が変わりつつある事を感じています。そのことについてはいつか機会を見つけて書いてみたいと思います。
写真上段より:
 1)ART BOXギャラリー展覧会(出版記念展)風景のひとこま
 2)欠田 出品作品(仲間、再開)
 3)欠田 出品作品(顔)
 撮影 筆者