欠田誠のマネキンの世界
第55話 震災後の・ディスプレイ
 東日本大震災から5ヶ月が過ぎました。同時に発生した原発事故は広い範囲でいろいろな分野に深刻な影響を与え続けており、日本復興の大きな足枷となっているといえるでしょう。先日、(7月9日)ある方からメールをいただきました。氏はショウーウインドウに飾られたマネキンを撮影して展覧会などで作品を発表しているそうですが、震災後は省エネや経費節減などでウインドウの照明をおとしたりマネキンの簡素化などで作品撮りをする為の環境はお世辞にも良いものではなく、このままでは作品を撮ることも残すことも難しいと言った内容でした。 私はエッセイ第51話(4月1日更新)で3月11日の東日本大震災後のマネキン・ディスプレイの活動について、私の思いを少し書きました。このような時にマネキン・ディスプレイの力で何が出来るか、従来のように、ディスプレイを控えるとか、自粛するという発想ではなく、マネキンの力で今の社会にどのように役立つことが出来るのか、日本の復興の為にどんな活力を与えることができるかと言う発想で、ディスプレイを考える時ではないか、と言う提言でした。いずれにしてもマネキン・ディスプレイは時代を映す鏡であり、時代の証言者であり同時に人々に生きる希望を与えるものでなくてはならないと思っています。街のウインドウは毎日多くの人たちの目に触れるとても訴求力の強い空間です。メッセージを発信する恰好の場でもあります。そんなショウーウインドウが、先に紹介したメールで言われているように。暗くて無気力なものであることは残念なことです。もちろんすべてのウインドウ・ディスプレイがそうだとは思っていませんが。

 ウインドウは店独自のものであり、そのディスプレイは店の販売促進に役立つためのものです。更にショウーウインドウは企業(店)の考え方、時代に向き合う姿勢の表現の場でもあると思います。それが人々の心をとらえ共感された
時に其れはリアリティをもったディスプレイの力といえるでしょう。

 これからの復興の為には元気、勇気、励まし、希望、など精神的な活力がとても大事です。今、スポーツ、音楽、芸能などに携わる人たちが日本の元気のため活動しています。マネキン・ディスプレイの力は微力なものかもしれませんが、このような時代だからこそ積極的に新しい時代のウインドウ・ディスプレイの役割、マネキンの役割について議論を重ねたいものです。

 私の母校、世田谷区立経堂小学校で毎月第3土曜日に同校の児童を対象に美術教室を始めて今年で4年目になります。東京はこの度の震災で直接被害は受けませんでしたがテレビの報道などを見て児童も父兄も大きなショックを受けています。経堂小学校にも東北の震災地から転校して来た児童が数人いるそうです。精神的なケアーが大切だと思っています。今年の授業始めの5月は東日本大震災の応援メッセージをテーマに絵を描きました。今回はその絵を紹介させていただきます。

写真説明・東日本大震災は原発事故も重なり、多くの人々と広い地域に大きな被害をもたらしました・災害に合われた人たちの苦しみや悲しみを思い、私達は、これからの新しい日本の復興のために、共に励ましあい、助け合って、頑張っていこうという思いをテーマに絵を描きました。美術教室のメンバー30人がそれぞれの思いで描いた応援メッセージです。

 美術教室担当 欠田 誠
 写真・筆者